都会の喧噪を離れ、自然に囲まれゆったりとリゾートライフを満喫できる沖縄は、老後の移住先としても人気です。今回はシニア世代に向けて、老後の沖縄移住にかかる費用について解説します。
この記事では、
- シニア世代が沖縄に移住する費用はいくら?
- 余生を沖縄でゆったりと過ごすには貯金はどのくらい?
- 老後を安心して沖縄で過ごすための事前準備は?
など、今回は老後の資産がどのくらい必要なのかと、沖縄への移住や移住後の生活費についての二つの観点から老後の沖縄移住にかかる費用について解説します。
また、この記事の最後にはシニア世代にとって気になる「老後の移住だからこそ」や「沖縄移住だからこそ」についての必要な事前準備についてもお伝えしています。
老後に沖縄でのリゾートライフを検討している方は、ぜひこの記事を最後まで読んで、安心して老後を過ごせる沖縄移住計画の参考にしてくださいね。
沖縄移住に向けた老後の貯金と生活費
ニュースでも老後2000万円問題が話題を集めましたが、「老後の貯金はいくら必要なのか」は、老後の沖縄移住を検討する方にとって気になることの一つではないでしょうか。
- 生活水準別にみる老後の資金
- 老後の生活費
- 高齢者にかかる医療費
この記事の本題「老後の沖縄移住にかかる費用」をお話する前に、まずはシニア世代の資金・生活費・医療費の3つの観点を通して、安心して老後を過ごすための資産について解説します。
生活水準別にみる老後の資金額
結論からお伝えしますと、老後に必要な貯金額に決まりはありません。それは、老後に必要な資産は個々の生活水準によるものだからです。
つまり、話題となっている老後資金としての2000万円がせっかく確保できたとしても、すべてのご夫婦が一律で満足できる生活を送れるとは限らないということです。
そこで、具体的に世帯年収ごとの生活水準を維持するために必要とされる老後の資金額についてお伝えします。ゆとりある老後に向けた貯金の参考にしてみてください。
ニッセイ基礎研究所の公開する「年収別、老後の必要資産額」によると、年収別の老後に必要な資産額は下記の通りです。あわせて、少しだけ生活水準を下げてみた場合にかかる金額についても参考としてご覧ください。
勤労世代の世帯年収 | 老後の必要資産額 | 生活水準 -10% |
300~500万円未満 | 1,900万円 | 1,100万円 |
500~750万円未満 | 3,200万円 | 2,100万円 |
750~1,000円未満 | 3,650万円 | 2,350万円 |
1,000~1,200万円 | 6,550万円 | 4,850万円 |
1,200万円以上 | 7,700万円 | 5,850万円 |
たとえば、老後の資金として2000万円を用意した場合、生活水準を維持できるのは世帯年収500万円未満の世帯までです。ゆとりある老後にはそれ以上の資産が求められるということです。
生活水準を10%ほど下げてみると、500~750万円未満の世帯も老後資金2000万円で生活ができます。ただ、楽しみにしていた老後の生活水準を下げることは簡単にできることではありませんので、早めに対策したいところです。
参考:ニッセイ基礎研究所「年収別、老後の生活資金として用意すべき資産額」
沖縄移住での生活費
ここまで老後に必要な資金について解説しました。そこで沖縄に移住を検討する方にとって気になるのが、老後にかかる毎月の生活費ではないでしょうか。
老後にかかる生活費
老後にかかる生活費については、公益財団法人 生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、老後における夫婦2人の一か月あたりの生活費は最低水準の23.2万円、ゆとりある老後の生活には夫婦二人で37.9万円が必要です。
そして、気になる沖縄県の物価水準ですが、ほぼ全国的な水準です。そのため、沖縄に移住する際も上記を目安として生活費の見通しを立てるとよいでしょう。
参考:(公財)生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」
沖縄での生活費
沖縄での生活費については、「沖縄の生活費はいくら?各費用の目安や全国水準との比較についても解説!」で詳しく解説していますので、そちらの記事を参考にしてみてください。
>>沖縄の生活費はいくら?各費用の目安や全国水準との比較についても解説!
高齢者にかかる医療費
もう一つ老後の資産について考える際に外せないのが、高齢者の医療費です。医療費は年齢を重ねるにつれて増加するため、老後の蓄えとして必要になります。
厚生労働省の公表する「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」を確認してみると、65歳以上の一人あたりの医療費は年間73万3700円で、年齢が上がるにつれて医療費は増えていくのが現状です。
老後の医療費については、この記事の「老後の移住に必要な事前準備」で解説していますので、詳しくは記事の最後を参考にしてください。
参考:厚生労働省「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」
老後の沖縄移住にかかる費用の目安
シニア世代の沖縄移住費用は、夫婦二人分で150万円が目安です。移住先の都市や時期、引越しの荷物の量、マイカー輸送の有無により費用が異なるため、あくまでも目安となります。
主な沖縄移住にかかる費用は、次の通りです。
- 引越し費用
- 車の輸送費用
- 沖縄への渡航費
- 家具・家電の購入費用
- 賃貸住宅の初期費用
沖縄移住にかかる費用の目安については、「沖縄移住の費用はいくら?引越しと生活費の目安を解説」で詳しく解説していますので、そちらの記事を参考にしてみてください。
>>沖縄移住の費用はいくら?引越しと生活費の目安を解説
ここでは、老後の沖縄移住に向けたシニア世代に向けて各費用の解説をしていきます。
1 引越し費用
沖縄への引越しにかかる費用は10万円~50万円が目安です。
沖縄移住の際は、できるだけ今使っているものを現地に持ってきましょう。シニア世代にとっての長年使い慣れた家具家電を手元に置けるという安心感だけでなく、現地で買い直すよりコスト面においてもメリットがあります。
各引越し業者の見積もりについては、引越し料金の比較サイトを利用して事前に各社の見積もりを比べてみることをおすすめします。
2 車の輸送費用
自家用車の沖縄への輸送費用は、普通車1台あたり6万円ほどが目安です。
シニア世代の沖縄移住後の車の所持については、車の輸送費用だけでなく、移住してから免許返納までの年数や、現地での自家用車の維持費なども考えて検討しましょう。
3 沖縄への渡航費
沖縄へ引越す際の飛行機代は、夫婦2人分で3万円ほどで手配が可能です。
なお、この費用には事前の下見に必要な渡航費は含まれていませんが、とりわけシニア世代が移住を検討する際には、ショートステイや体験移住をすることをおすすめします。移住を決定する前に、まずは沖縄の気候や環境がご自身に合うかどうかを確認しましょう。
4 家具・家電の購入費用
現地での家具・家電の購入費用には、20万円から30万円ほどが目安です。沖縄で新調したい家具や家電は、現地のホームセンターや家電量販店で購入できます。
5 賃貸住宅の初期費用
シニア世代にも住みやすい利便性の高い都市部では、賃貸住宅の初期費用は40万円~50万円程度です。老後の移住においては、公共交通機関や商業施設などの充実ぶりといった地域の利便性が移住成功のキーとなります。
老後の沖縄移住 移住先選び
シニア世代の沖縄移住については、住居としてどのエリアを選ぶかがとても重要です。
- 全国平均と比較した沖縄の家賃相場
- 沖縄のエリアごとの家賃相場
- 老後の移住先に必要な条件
ここからは沖縄の家賃相場から、老後の住まいに選びたい移住先の条件までを段階的に解説します。
全国平均と比較した沖縄の家賃相場
沖縄への移住においては、住居にかかる費用が大きく占めることがわかりました。そこで、沖縄の地域ごとの家賃相場について解説します。全国賃貸管理ビジネス協会によると、沖縄県の家賃相場は2部屋(2K・2DK・2LDK)で56,044円です。
2部屋(2K・2DK・2LDK) | |
沖縄県 | 56,044円 |
全国平均 | 58,551円 |
参考:全国賃貸管理ビジネス協会「全国平均家賃による間取り別賃料の推移」
首都圏や大阪府などの大都市と比較すると低い水準ですが、全国的にみると沖縄の家賃の相場はほぼ平均的な水準であることがわかります。
沖縄のエリアごとの家賃相場
沖縄県内では那覇市を中心とした都市部の賃貸価格は高めな一方で、地方になるにつれて家賃は安くなっていきます。
実際の主な地域ごとの家賃相場は次の通りです。ここでは夫婦二人の住まいを仮定して1LDK/2K/2DKと2LDK/3K/3DKの間取りについて紹介します。
県内の家賃相場について各エリアごとにまとめてみました。ぜひ住まい選びの参考として比較してみてください。
1LDK/2K/2DK | 2LDK/3K/3DK | |
那覇市 | 7.1万円 | 8.9万円 |
浦添市 | 6.0万円 | 7.1万円 |
豊見城市 | 5.9万円 | 6.5万円 |
宜野湾市 | 5.8万円 | 7.0万円 |
糸満市 | 5.5万円 | 6.3万円 |
沖縄市 | 5.2万円 | 5.6万円 |
名護市 | 5.0万円 | 5.8万円 |
老後の移住先に必要な条件
老後の沖縄移住においては、十分な費用の用意があることはもちろんですが、生活の利便性や交通事情に配慮した選択こそが沖縄移住の成功を左右します。
不動産会社の株式会社AlbaLinkによる「老後に住みたい移住先の条件」によると、老後に選ばれる移住先の条件として、多くのシニア世代が生活の利便性を優先していることがわかります。
- 近隣に商業施設がある
- 近隣に医療機関がある
- 交通の便が良い
- 自然を感じられる
- 気候が温暖
参考:株式会社AlbaLink「老後に住みたい移住先の条件」
沖縄移住を成功させるには住みやすいエリア選びが重要です。住まいを決める際には家賃の手頃さだけでなく、とりわけシニア世代にとっては買い物や通院などの生活の利便性に配慮したエリア選びが求められます。
老後の移住には都市部が最適
沖縄における老後の移住に最適なエリアは那覇市です。
ここまで「老後の移住先に必要な条件」についてお伝えしてきましたが、まず那覇市には商業施設や医療機関が多数あり、生活における利便性の良さがメリットです。毎日の買い物はもちろんのこと、高齢になるにつれて医療機関にかかることも増えるため、近隣に商業施設や医療機関があることが安心にもつながります。
また、車社会で知られる沖縄ですが、那覇市内であればマイカーがなくても、あるいは運転免許を返納してからも、公共交通機関が整っているため車がなくても充分に生活できます。
老後の移住に必要な事前準備
最後に、多くのシニア世代にとって気になる「老後の移住だからこそ」や「沖縄移住だからこそ」の老後の沖縄移住に向けた事前準備について解説します。
- 老後の医療・介護費について
- 自身の葬儀やお墓について
これら2項目については、まとまった費用を要する事前準備となるため、沖縄への移住を検討する際の参考にしていただければと思います。
老後の医療・介護費の準備
老後に沖縄移住をする際の費用には、年齢を重ねるごとに増える医療費や介護費についても考慮する必要があります。厚生労働省の公表する「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」によると、65歳以上の一人あたりの医療費は年間73万3700円で、年齢が上がるにつれて医療費は増えていきます。
自己負担分を3割として医療費を計算すると、年間一人あたり220,110円となり夫婦二人分の医療費は年間で約45万ほどです。自己負担額には上限が設けられていますが、医療費や介護費は年齢を重ねるごとに増えていくことを含めて、しっかりと費用の見通しを立てましょう。
参考:厚生労働省「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」
自身の葬儀やお墓の準備
老後に沖縄移住をするには、自身の葬儀やお墓についても考えましょう。
沖縄に夫婦で移住するということは、多くの方にとってお子さんや親類を離れることになります。葬儀やお墓にかかる費用を事前に確保しておくこと、また沖縄という土地勘のない場所でお子さんや親類になるべく負担をかけることのないよう、できることは事前に準備をしておくことをおすすめします。
まとめ
今回は沖縄移住に向けた老後の資産について解説しました。
この記事では、老後に必要な資産額について生活水準別に解説し、また老後にかかる平均的な生活費や高齢者にかかる医療費についても解説しました。また、沖縄移住にかかる費用については、シニア世代に向けた老後ならではのポイントを紹介しました。
そして、この記事の最後では、老後の移住に必要な事前準備についてもお伝えしました。
老後の沖縄県移住に興味のある方は、この記事を読んで沖縄移住に向けた費用の見通しを立てる参考にしてみてくださいね。